10/10/21 戦争を起こさず国益を勝ち取る戦略と戦術

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シンガポール、フランクフルト、マイアミ、ヨハネスブルグ。日本の外務省が、緊急援助物資備蓄倉庫を設けている場所です。
所管する国際協力局緊急・人道支援課に拠(よ)れば、物資品目は、テント、毛布、発電機、簡易水槽、浄水器、ポリタンク、プラスチックシート、スリーピングパッド。無論、昨今話題のワインの備蓄は見当たりません。
とは言え、2007年8月、ペルーで大地震が発生した際、日本が供与したのは、テント、毛布、スリーピングマットの3点のみ。金額にして僅(わず)か1600万円。而(しか)も外務省職員は同行せず、物流業者がマイアミから空輸し、現地のJICA=国際協力機構職員がペルー政府に届けたのです。いやはや、”目に見える日本外交”とは対極の対応。
数多くの日系人が暮らすペルーは、日本大使館がトゥパク・アマルに占拠された際、豪勢なクリスマスパーティに参加していた日本人を全員、無事に救出してくれた国。であればこそ、恩返しとして、地震発生直後に自衛隊と土木建設業者を政府専用機で送り込むべきでした。
救出作業・医療活動に加えて、寸断された道路や破裂した水道を迅速に復旧してこそ、”目に見える日本外交”として、ペルー国民の間で親日感情が高まった筈。後から巨額の予算を投じ、不透明なODA事業を実施した所で、潤うのは一般国民でなく、一部の特権階級に留まります。
トルコが親日的なのは、今から120年前に和歌山県串本沖で遭難したエルトゥールル号の乗組員を地元民が救出し、全国規模で義捐(ぎえん)金が集まり、69名の生存者を日本海軍が送り届けたからです。
今回のチリ落盤事故でも、世界有数の掘削技術を有する日本は、政府専用機で自衛隊とゼネコンのスタッフを送り込み、全面支援を実施すべきでした。ソフトパワーとしての日本の技術力と人間力を全世界に浸透すると共に、チリからのレアメタル安定供給を確実とする絶好の機会を決断出来なかった日本の政治に、忸怩(じくじ)たる思いです。現にアメリカとて、アフガニスタンで駐留米軍と共に井戸掘削に従事していた専門技師を急遽、派遣したではありませんか。
戦争を起こさずに国益を勝ち取る戦略と戦術が、外交には不可欠。天変地異等の困難に直面した地域へ真っ先に駆け付ける国際救助隊「サンダーバード隊」の創設を、僕が提唱し続ける所以(ゆえん)です。

2010/10/21