2008/10/03 参議院本会議 公共事業、利水、原産地呼称管理制度について◆本会議

10/3(金)午後、田中康夫代表が参議院本会議で
麻生太郎首相を始めとする閣僚に対する代表質問に立ちました。

New 昨年10月3日の参議院本会議に於ける田中代表の代表質問の英訳をアップしました。
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田中代表が国会で代表質問!

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2008/10/3(金)参議院本会議議事録

以下、質問全文を掲載しましたのでご覧下さい。

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敬愛する小沢一郎さんが代表を務める民主党と、参議院で統一会派を組ませて頂いております、私は、新党日本代表の田中康夫です。
参議院議員会長の輿石東さんを始めとする会派の皆さまの御配意の下、諸行無常な祇園精舎の鐘の声が、永田町の政権与党に鳴り響く、最終決戦の場で、代表質問を行う機会を得ました。改めて感謝申し上げます。

私たちの日本は今、大きな転換点に立っています。歴史上、何れの国家も地域も未だ経験した事のない急激な速度で、「超少子・超高齢」な社会へと突入し始めているのです。
国立社会保障・人口問題研究所に拠れば、21世紀の折り返し地点である2050年代には、日本の人口が、外国籍の方々を含めても9000万人を割り込 む、と予測されています。即ち、年間80万人近い割合で人口が減少していくのです。それは、東京23区で最も住民が多い世田谷区が毎年、消滅する計算で す。
1人の女性が生涯に平均何人の子供を出産されるか、その数値を「合計特殊出生率」と呼びます。病気や事故で亡くなられる確率も勘案すると、今日の日本の 公衆衛生では、その数値が2.06を維持し続けた場合に辛うじて、人口は横這いを保ちます。他方で現実には、日本の合計特殊出生率は2.06を大きく下回 る1.26なのです。それは50年後も同率だと推計されています。
働く女性が出産し易い社会環境、仕事へ復帰し易い労働環境が今後、飛躍的に充実を遂げたとしても猶、1億2700万人の人口は激減し続けるのです。 100年後には現在の半分、即ち6300万人を割り込みます。これとて、出生率が高位・死亡率が低位に留まった場合です。前述の国立社会保障・人口問題研 究所は、最悪の場合には100年後に日本の人口は、3300万人台へ陥ると予測しています。
物質主義から脱・物質主義へ。私たちは、これまでの「右肩上がり」の発想を捨て去り、「量の拡大から質の充実へ」と選択を改め直し、更には「供給側の都 合から消費側の希望に根ざした」仕組へと、世の中の有り様を抜本的に再構築せねばなりません。「社会的公正」と「経済的自由」を同時に達成し、混迷する日 本にダイナミズムを取り戻す。新党日本代表の私の哲学であり、使命でもあります。
が、残念ながら、島国日本に於ける「政治や行政」は、何処か未だに“ぬるま湯”状態で、危機感も希薄に思えます。それは、「的確な認識・迅速な決断・明 確な責任」を併せ持ち、「怯まず・屈せず・逃げず」の気概の下に、「おかしいことは、おかしいと言い」、「おかしいことは、一緒に変えていこう」と人々を 冷静に鼓舞する器量のリーダーが、今や政権与党を見回す限り、見当たらぬからです。

今 日日、絶賛を博すTVドラマとて1クール13回。視聴者からソッポを向かれれば途中で打ち切りも辞さぬ即断即決の御時世に、都合17回にも亘って延々と水 増し挙行された、季節外れの9月・長月“ええじゃないか”盆踊り全国顔見せ興行の場で麻生太郎さん、貴男は繰り返し、宣いました。「日本の最大の問題は不 景気だ」、と。
而して、今週月曜日には所信表明演説で、声高らかに宣言されました。「日本経済は全治3年。3年で日本は脱皮出来る。せねばならぬ」と。
その言や善し。が、一向に不景気から日本が抜け出せぬ「最大の理由」こそは、自由民主党が死守し続ける過去の成功体験、もとい既得権益に寄り掛かる政治 家・官僚・業界、所謂「政官業」利権分配ピラミッドの存在に帰因するのではありませんか? 而して、麻生太郎さん、貴男は、その慨嘆すべき惨状に対し、余りに無自覚なのではありますまいか?
と述べるや早くも、苦虫を噛み潰すが如き表情を貴男がなさる、その腹立たしき感情は、質問者の私とて、判らなくはありません。
おいおい、16歳も年下の、新参者の参議院議員に稽古を付けられる覚えはないぞ。 “上から目線の坊ちゃん内閣”を率いる貴男は、お爺様の科白(せりふ)をお借りすれば、「バカヤロー」と呟きたい衝動に、駆られているかも知れません。
然れど、これから申し上げる私の見解と質問は、無論、早期解散と政権交代の実現を拒むか求めるか、彼我の違いこそ明々白々なれど、今こそ日本を救わねば、との覚悟に於いては少なからず同じでありましょう。

私は2000年10月、信州・長野県の知事に就任しました。戦後の公選知事は、私以前に僅か3人。前任2人の公務員出身者が41年6ヶ月、議員と職員と知事の“仲良しピラミッド”を続ける中で、財政状況は47都道府県でお尻から数えて2番目の状態に陥っていました。
借入金に掛かる利息の支払いだけでも、1日当たり1億4800万円に達していたのです。そのまま手を拱いていたなら、3年後にも財政再建団体への転落は不可避。待ったなしの危機的状況でした。
「『脱ダム』宣言」を切っ掛けに不信任決議を議会から突き付けられ、失職を経て出直し知事選に打って出た私は、都合6年間の在任中に、後述する様々な取組 を実行し、その結果として、47都道府県で唯一、6年連続で起債残高を減少させ、同じく全国で唯一、7年度連続で基礎的財政収支=プライマリーバランスの 黒字化を達成しました。
無論、その成果は、住民や職員の深い理解と篤い協力が有ったればこそです。その間、 “現場主義・直接対話”の精神で職員や住民に、「発想を変え・選択を変え・仕組を変えよう」と訴え続けました。
ヤマト運輸株式会社“中興の祖”として知られる小倉昌男さんを委員長に起用し、天下りと補助金の伏魔殿と化していた全ての外郭団体をゼロベースで見直し たのも、その一環です。委託料・補助金・負担金と職員派遣の全面的見直しに留まらず、団体の廃止・統合・縮小を敢行し、見直し比率は既存54団体の96% にも及びました。それは、今は亡き小倉昌男さんが最後に手掛けた公的仕事です。
翻って国政に於いて、スケープゴート的に「私のしごと館」のみを見直しても、それはガス抜きにすら、なりますまい。
省庁を退官した翌日から移籍可能な、独立行政法人なる組織の大半は、“天下りマネーロンダリング機関”と化しています。2年間、恙無き人生を過ごせば、 建設会社や製薬会社等の役員に転出するのはノー・プロブレーム、何らお咎め無しなのですから。
入札改革も、同様です。公共事業に留まらず、全ての分野の事業で不透明な随意契約、更には弱肉強食・優勝劣敗を齎す指名競争入札を廃止し、公明正大・切 磋琢磨の一般競争入札を全面的に導入しました。限りなく100%に近い談合状態だった落札率は、47都道府県で最も低い、8掛け前後へと落ち着きました。
全国初の小学校全学年での30人規模学級の実現も、こうした一連の取組で生まれた余剰金を原資として活用し得たからです。
複数名の知事が談合で逮捕されたのを受けて全国知事会は、1000万円以上に限っては一般競争入札制度を導入せよ、と2年前に取り決めました。が、現段 階でも導入は半数にも満たぬ22道府県に留まり、仮に1800万円の事業を2分割発注すれば依然として不透明な随意契約も可能なのです。
とまれ、私は、人が人にお世話をして初めて成り立つ21世紀型の新しい雇用創出の場である福祉・医療・教育・環境の充実。地域密着型の公共事業への転換 に加えて、農業・林業・漁業3分野から成る新“3業革命”を目指したのです。その実現への課程に於いて、財政の健全化・入札の透明化が必要条件だったので す。

麻生太郎さん、貴男も所信表明演説の中で、「財政再建は、当然の課題です。しかし、目的と手段を混同してはなりません。財政再建は手段。目的は日本の繁栄。麻生内閣の目的は、日本経済の持続的で安定した繁栄にこそある」とも仰っています。
無論、その言も善し。が、であるとするなら、「安心実現のための緊急総合対策」を受けて今般提出された、総額1兆0641億円に上る一般会計補正予算の 中で、ここぞ日本繁栄の目的・財政再建の手段だと麻生太郎さん、貴男が胸を張れる箇所は、どの点でありましょうか? 個別具体的にお示し下さい。
新党日本のホームページでは、新政策機構チームニッポンが総力を結集して作成した「日本の借金時計」が、増大し続ける金額を1秒単位で表示しています。 その額、1時間に66億円。う~む、この程度の金額では、渋谷区神山町、読んで字の如し、神の山と表記する、正に下々とは対極の住所に邸宅を構える貴男 は、然して驚かれぬやも知れません。
が、しかし、麻生太郎さん、日本の借金は1週間で1兆2千億円近くも悪化し続けているのです。それは奇しくも、総合食品会社の雄たる味の素株式会社に於 ける、連結会計対象のカルピス株式会社等を含む、全世界での1年間の総売上高と同額なのです。繰り返しますが、日本の借金は1週間毎に1兆2千億円近くの 増加。それでも危機感を抱かぬとしたら、早期の精密検査受診をお奨めします。
而して、「安心実現」なる四文字言葉とは裏腹に、今回の補正予算提出に先駆けて貴男は、公債追加発行額3950億円、財政投融資計画の追加額1778億円 を閣議決定されました。「国・地方の基礎的財政収支=プライマリーバランスを黒字にする。2011年度までに成し遂げる」と所信表明の原稿を自ら音読しつ つ認(したた)めた、その舌の根の乾かぬ内に。

成 る程、貴男の先先先代に列して居られたライオンヘアの宰相も、その勇ましい大言壮語とは裏腹に、在任中に250兆円も日本の借金を増大、即ち日本の財政を 悪化させました。“隠れ埋蔵金”ならぬ“隠れ負債額”も加えれば1000兆円に達する日本の借金の、4分の1を僅か5年半で達成するとは、いやはや。「構 造改革」という名の羊頭狗肉、ここに極まれり。今年1月31日の予算委員会で、“なぁんちゃって小泉・竹中へなちょこ改革”と私が命名した所以です。
若しや、麻生太郎さん、その“三百代言”内閣で総務大臣として、欺瞞に満ちた「三位一体の改革」とやらを全国の地域に強要した経験を活かして、嘯く心算 (つもり)ではありますまいか。「この借金よ、届けと念じます。ともすれば、元気を失いがちなお年寄り、若者、いや全国民の皆さん方のもとに」と。成る 程、1000兆円に達する天文学的数値の借金返済は早晩、真っ当に働き・学び・暮らしながらも、将来の人生設計は疎か、今、この瞬間の生活環境にすら、夢 も希望も抱けぬ全国津々浦々の方々の、更には、これから生まれ来る子供達の双肩にのし掛かってくるのです。
「日本と日本人の底力に、一点の疑問も抱いたことがありません」と仰る麻生太郎さん。この私は、「貴男と自由民主党の馬鹿力に、一点の期待も抱きかねるのです」。

その上で、「財源を明示して頂きます」。貴男が、所信表明演説(失礼、読み間違えました。所信「挑発」演説)で宣(のたまわ)った詰問を、心ならずも私も、行わねばなりません。何となれば今回、財務大臣に貴男が任命し、29日の本会議で貴男に引き続いて、補正予算案を説明する財政演説を行った中川昭一さんは、「日本経済復活のための13の政策」と題して月刊誌に、長尺の論文を発表されているからです。
而も、その本文中に示された見出しは、「国民を犠牲にする改革は本末転倒」、「減税や財政支出も躊躇するな」と始まり、「高齢者への対策」、「母子家庭 への対策」、「フリーターへの対策」、「正規雇用者への対策」と続きます。正しく片腹痛し。私は今一度、目次頁を眺め直しました。若しや、「財源無視宣 言」と副題を冠してはいまいか、と。
同様の懸念を抱いたマスメディアの表現者も居たらしく、これらの政策提言を実行するには総額21兆円余りの財政出動を要する、との試算を報じています。いやはや、目糞鼻屎は一体、何方(どちら)でありましょう? 改めて、「財源を明示して頂きます」。中川昭一さん、明確な答弁を頂戴致したく存じます。
が、山国に於ける私の経験に照らせば、「財源論」こそは不毛な議論に他なりません。求めるべきは、財源を示す・示さぬの二元論を超えた発想と実践。景気 回復と財政再建は、何れを優先するかの二律背反的二元論ではないのです。
但し、その為には、義務費若しくは経常費と呼ばれる、人件費を含む全ての事業の全ての予算を、その起案作成段階からゼロベースで見直さぬ限り、「『改革 のための改革』を止めよ」と緊急提言された中川昭一さんが主張される「国民生活を守り、しっかりとした経済成長を実現する」など到底不可能です。
何故、こんな事業が存在するのか。何故、こんな補助金が温存されているのか。知事就任当初の私は毎日が、恰も子供・少年探偵団の気分でした。何故何故ど うして、とガラス張り知事室でも視察先の現場でも、尋ねっ放しでした。が、その大半は、あろう事か、財政担当者や事業担当者に質問しても、要領を得ないの です。暫し時間が経過して、私には見えてきました。それは、県会議員であったり、商工団体であったり、農業団体であったり。長年に亘って既得権益として確 保され続け、毎年の予算編成時にも、再検討の遡上にも上がらずに温存されてきた予算と事業なのだ、と。

「変化を乗り切って大きく脱皮する日本人の力を、どこまでも信じて疑わない」と仰る麻生太郎さん。その日本のモノ作り産業が、数多の困難を乗り切って大きく成長し続けてきたのは、「脱シーリング」の発想に基づく選択と仕組を実践し続けたればこそです。
予算編成時に政治・行政の世界で飛び交う「シーリング」なる符丁。言わずもがなの解説を加えれば、シーリングとは天井を意味します。歩道の整備であれ、 訪問介護の充実であれ、1箇所100万円の事業を10箇所で実施する。総事業費は1000万円です。けれども現下の厳しい財政状況下、一律2割カットの予 算シーリングが課せられると、個別事業費の単価はそのまま、実施箇所のみ2箇所削減。これが官公庁の発想なのです。
モノ作り産業に代表される民間企業の場合は、異なります。個別事業費の単価を減らして、実施箇所は維持する。即ち1箇所80万円×10箇所=総事業費 800万円で実施するのです。無論、安かろう・悪かろうでは消費者からしっぺ返しを食らいます。量のみならず質も維持するべく、智恵と努力をチームワーク で結集せねばなりません。
傍聴席の方のみならず、テレビやラジオ、パソコンの前の皆さんも、疑問に思われるでしょう。当たり前の事が何故、政治や行政では出来ないのだろう、と。
理由は至極、単純です。中央・地方を問わず、官公庁とは随意契約の世界なのです。国土交通省の仕事を、文部科学省が行う筈もありません。商工部の仕事 を、農政部が奪う筈もありません。だから、同業他社との間に、切磋琢磨の競争が生まれる民間企業では当たり前の成果が、齎されないのです。
摩訶不思議にも官公庁の予算書は、公共事業のみ100万円単位で表記します。即ち、たった3桁の数字で記された215が、生涯賃金にも匹敵する2億 1500万円を意味するのです。他方、福祉や教育を始めとした非公共事業の予算書は、何故か1000円単位で表記されます。役所の食堂で、380円と 420円、どちらの昼定食にしようかと思案する人間が、机に向かうや公共事業100万円=1円の頭脳思考回路となるのです。而して、福祉や教育の予算書作 成時には2150=215万円、215と3桁で記される公共事業予算の100分の1の金額にも拘らず、1桁多い4桁の数字として捉えてしまい、福祉や教育 の予算増額に難色を示すのです。錯覚とは恐ろしいものです。
発想を変え・選択を変え・仕組を変える。私は全ての予算書を1円単位から記そうと職員に提案しました。10億円の公共事業は10桁もの数字を羅列せねば ならず、予算書の枠内に入り切らない、と難色を示す財政改革チームの職員に私は、日本には漢字という便利な代物が存在するではないか。電卓の文字盤と同様 に、億・万・千の漢字と数字を併用すれば予算書の枠内に収まり、税金の執行に関して視覚的にも1円単位から自覚的・自制的となる、と説きました。
ピンバイスと呼ばれる0.1mm単位の微細なドリル刃(やいば)を駆使するプラモデルの大家にして、今や断崖絶壁に突風吹き荒ぶ農林水産省で“下から目 線”な対応を心掛ける石破茂さんにお尋ね申し上げます。最早、農業者の自律にも自給率の向上にも寄与しない、と批判を浴びる旧態依然たる土地改良に象徴さ れる巨額な農業土木の公共事業予算書を、起死回生で1円単位からの表示とし、意識改革に獅子奮迅する意志は有りや無しや、と。
続いて、野田聖子さん。迷走・混迷する自由民主党の中で、私が一目を置く、数少なき政治家の1人である貴女にも、望ましき消費者庁の在り方に関し、忌憚無き見解をお話し頂きたく思います。
会社や組合という組織の都合ではなく、個人や地域という人間の未来に根ざした政治を日本に定着させる上で、消費者庁の帰趨は極めて重要です。が、その為 には「プラン、ドゥー、チェック、リ・ドゥー」(立案・実行・検証・再実行)。ともすれば、お座なりな対応で済まそうと、供給側の論理に依拠しがちな既存 の省庁に対し、やり直しの“駄目出し”を、消費側の希望に立脚する消費者庁が命じ得る法的権限を明確化する法案の修正強化に今からでも取り組むべきではあ りますまいか。
発想を変え・選択を変え・仕組を変える。仕組、即ちシステムを再構築せねば、食の安心・安全は実現し得る筈もありません。にも拘らず、日本では「原産地 呼称管理制度」が未整備な状態で留め置かれているのです。知事時代、ソムリエの田崎真也氏らの協力を得て、日本酒・ワイン・焼酎・米・牛肉を始めとする農 作物並びに農産物加工品の生産情報開示と品質評価の客観的且つ具体的制度化を実現させた私としては、切歯扼腕の思いです。
最早、「大量殺人未遂」「同ほう助」に他ならぬ、と9月10日に東京地方検察庁へ、18日に大阪府警察本部へ、冬木三男・三笠フーズ社長、当時の太田誠 一農林水産大臣を告発すべく私が赴いたのも、当時の町村信孝官房長官が会見で述べた「抜き打ち検査や販売の仕方の改善」といった、早い話が、予算増額でネ ズミ取りの機器と人員を増員すれば、1台目に加えて3台目と多分7台目も摘発可能、ってな次元の、付け焼き刃な小手先対処では問題は解決しない、と考えた ればこそです。
所詮はITハコモノ行政の域を出ない、従来型発想の所謂「トレーサビリティ」を超えた、「原産地呼称管理制度」の創設こそは、消費者の希望に応える政治の決断です。石破茂さんと野田聖子さんに御見解を伺います。

環境行政を所管する斉藤鉄夫さんにお尋ねします。9月11日、蒲島郁夫熊本県知事は、国土交通省が計画する川辺川ダムの建設に反対すると表明しました。
2001年2月20日、9つの県営ダム計画を中止すべく「『脱ダム』宣言」を発し、爾来、徒手空拳の闘いを続けてきた私にとっても、感慨深い1日でし た。何となれば、彼は政府与党の全面的支援の下に当選した知事だからです。「『脱ダム』宣言」から7年半、時代は着実に変化を遂げています。
「脱ダム」とは、環境問題に留まりません。御存知かどうか、国が実施主体の直轄事業とて、地元自治体の財政負担は3割近いのです。加えて、ダムに象徴され る巨大公共事業は、総事業費の8割前後が東京や大阪に本社を構えるスーパーゼネコンに支払われます。詰まり、地元は1割も持ち出し。巨大公共事業の絡繰り とは実は、“租庸調”の時代の如き、上納・献上システムなのです。ダム建設とは今や、「地方経済」を回復させるどころか逆に疲弊・破綻へと追い込む、河川 に染み込む毒薬メタミドホスです。
他方で、日本の国土面積の7割近くを占める森林は荒廃しています。取り分け、その45%は戦後に造林された針葉樹の人工林。広葉樹と異なり、間伐を必要 とします。が、驚く勿れ、林野庁の予算の中で森林整備に投じられているのは僅か8%。残り92%は林道建設や谷止工と呼ばれるコンクリートや鋼鉄の杭を沢 に打ち込む公共事業なのです。
針葉樹は樹齢45年から60年の間に、「2残1伐列状間伐」と呼ばれる2列残して1列伐採する森林整備を行わねば、幹が太くなりません。昭和30年代に造 林された針葉樹の間伐は最早、待ったなしの状態なのです。にも拘らず、間伐が完了しているのは人工林1140万haの約3分の1、400万haに過ぎませ ん。今後6年間は年間55万haを間伐する、と林野庁は計画を発表していますが、それでは6年後も410万haは手付かずの儘です。
実は、間伐に投じる事業費の3分の2は、人件費なのです。即ち、これこそは地域密着型の公共事業。中山間地域の土木建設業従事者にとっての福音でもあります。
故に知事時代、私は森林ニューディールと銘打って、間伐する面積も予算も2.5倍に増やすと共に、森林整備技術を習得する100時限の無料講習会を開催し、地域雇用の促進に努めました。
森林整備の効果は、治山・治水に留まりません。中下流域の農業者にも漁業者にも、更には牡蠣を始めとする河口の漁業者にとっても福音を齎すのです。正に農業・林業・漁業3分野を連携する新“3業革命”。
思えば、斉藤鉄夫さんも私も、人々に哀しみを齎す富国強兵ではなく、人々に仕合わせを届ける経世済民の社会を実現すべく、政治の道に入った筈です。他省 庁との連携の下、国立公園も管理する環境省が主体的に予算措置を講じて森林整備に携わったなら、それこそは洞爺湖サミット議長国に相応しき決断でありま しょう。「脱ダム」への見解も含め、御所見を是非、お聞かせ下さい。

最後に再び、第92代内閣総理大臣の麻生太郎さん、貴男への質問です。
日本政府は今春、嘗ての国策会社・Jパワー 電源開発株式会社への資本参加の比率を高めようとしたイギリスのザ・チルドレンズ・インヴェストメント・ファンド(TCI)に対し、甘利明さん、当時の経 済産業大臣にして現在は規制改革を促進する特命担当大臣である甘利明さん、あなたは、罷り成らぬ、と株式の取得中止命令を発しました。
他方で、この9月5日、丸紅・関西電力・九州電力の各株式会社、更には政府全額出資の日本政策金融公庫の国際部門たる国際協力銀行(JBIC)等で構成 される企業連合は、シンガポール財務省傘下の投資会社が100%保有していた同国最大の電力会社、セノコ・パワーの全株式を取得する、と発表しています。
本日の代表質問の冒頭で、「社会的公正」と「経済的自由」を同時に達成し、混迷する日本にダイナムズムを取り戻す事こそは、新党日本代表の私の哲学であり、使命である、と述べました。
而して、麻生太郎さん、貴男は先の所信表明演説でエネルギー問題に関し、「世界で先頭をゆく環境・省エネ国家として、国際的なルール作りを主導していく」と語られました。その言や善し。
アジアとの交差点・アメリカとの交差点・オセアニアとの交差点。地政学的に3つの円が交わる重要な拠点に位置する我らがニッポンが、「とてつもない日 本」、いや「とんでもない日本」ではなく、名実共に「信じられる日本」として、世界の国々から、世界の企業から、世界の人々から認められるべく、「的確な 認識・迅速な決断・明確な責任」の下に地歩を固めることこそが、肝要です。
とするならば、この2つの事象に関する日本政府の判断の整合、若しくは不整合を、麻生太郎さん、貴男は如何に認識し、如何に国内外に説明されるのか。
「担わんとする責任の重さに、うたた厳粛たらざるを得ません」と覚悟の程を披瀝された貴男の、深い洞察力に満ち溢れた答弁を期待し、私、田中康夫の代表質問を終わります。有り難う御座います。