11/03/10 口先番長は口先逃れを全うできるか◆日刊ゲンダイ

「中学2年からの知り合いで、政治の世界に出てからは一生懸命に応援して頂いている在日の方」から献金を受けていたとは露(つゆ)知らなかったので、「先(ま)ずは全体像を把握し、しっかりと対応させて頂きます」と“口先番長”は参議院予算委員会で答弁しました。
凡(およ)そ有り得ぬ論理展開です。携帯電話で“カンニング”の助けを借りずとも、京都大学受験生なら誰しも、そう思うでしょう。
が、凡人には窺い知れぬ認識回路の御仁も世間には存在します。かんぽの宿、日本振興銀行・・・。逃げ足の速さが取り柄の竹中平蔵なる人物は、「前原大臣辞任。素早い決断であり、政治家として潔い」とツイッターで礼讃しました。
而(しか)して、日本の外交や内閣の帰趨、国民の生活よりも、自分の保身が一番とばかりに“口先番長”は、「誠司とカネ」の説明責任も果たさぬ儘、“三十六計逃げるに如かず”と同じ穴の狢(むじな)です。
2年間で脱税2億3600万円の廉で逮捕された暴力団の元構成員・篠原寿氏とは、「6、7年前からの知り合い」 とも“口先番長”は予算委員会で答弁しました。
奇(く)しくも6年10ヶ月前の2004年5月に逮捕され、一審で有罪、二審で執行猶予の判決が確定する間、覚醒剤所持での逮捕歴も有する件(くだん)の人物を前原誠司氏は、野田佳彦、村田蓮舫の両氏にも紹介し、それぞれ献金を受けているのです。
北朝鮮からの覚醒剤密輸ルートとの関係も噂される人物です。その洞察力に僕が一目も二目も置く作家の高村薫女史が、「そもそも外相まで務めるような人物か!首相の器ではない」と共同通信で喝破する所以です。
にも拘らず「朝日新聞」は、「前原氏は政権を守る為に首相に身を預けるより、将来の宰相の芽を残す道を選んだのだ」。「野党は別の政治資金を巡る問題も追及する構えをみせていた。無理に続投すれば傷口を広げ、政治生命さえ失いかねない」と無批判に”擁護”する体たらく。
「前原さんには政倫審にきちんと出て頂いて、説明をして頂かないと国民は許さないと思います」。公明党の松あきら議員の予算委での発言です。
自由民主党の逢沢一郎国対委員長も看破するが如く、「違法献金の全容は明らかになっていない。前原氏は国会で『全体像を明らかにする』と発言しており、辞任後も説明責務は残る」のです。
八ツ場ダム建設の入札企業からの不透明な献金疑惑、更には後藤組系列のフロント企業ならぬフロントNPOと喧伝される「ヒール・ザ・ワールド・オブ・インスティテュート 日本文化研究会」からも献金やパーティ券購入を受けている件も含め、“口先番長”は果たして、口先逃れを全うし得るでしょうか?