11/03/24 “平成の棄民”を見捨ててはならぬ!◆日刊ゲンダイ

「東京電力からは、誰も来ません。電話一本、有りません」。3月20日午後、南相馬市役所で再会した畏友の桜井勝延市長は、問わず語りに教えてくれました。
南相馬市は、東京電力関連の原発交付金=原子力発電施設等立地地域特別交付金を1円も受けていない、即ち”飴(あめ)”とは無縁の街です。
市内の一部が、東京電力福島第1原子力発電所から30km圏内に位置する南相馬市の住民は今回、「屋内退避」を政府から命じられます。が、驚く勿(なか)れ、その指示は「報道」を通じて、市長も知ったのです。政府から市役所に「連絡」が有ったのは地震発生から1週間後。人工股関節全置換術の手術で入院中の私がメールで官邸直通電話を伝え、彼が”直訴”して初めて、「反応」が有ったのです。「屋内退避」も”地域主権”で実行せよ、と捉えていたのでしょうか?
「南相馬市から出るな。屋内退避を続けろ。物資も自己調達せよ」と”自助自律”の”鞭(むち)”を政府は打ち鳴らし、運送会社も”被爆(ひばく)”を怖れ、物資は何も届きません。太平洋戦争時の硫黄島と同じ”棄民”状態です。
桜井勝延氏は、日本有数の巨大電機メーカーが広域暴力団系の組織を暗躍させ、建設を企てた”違法”産業廃棄物処分場に一市民として敢然と闘い、昨年1月に市長に就任した気骨の人物。知事時代、水没した仙台空港から1人で電車を乗り継ぎ、講演に訪れた間柄です。退院を早めて19日夜、与党統一会派を組む国民新党の下地幹郎氏と共に出発し、仙台経由で南相馬市に入りました。
家族も住居も職場も失い、風呂すら入れぬ避難所の住民に資生堂のドライシャンプーを手渡し、大手町や赤坂で昼食を販売するアジアンランチの畏友・山口健司氏が準備した、5種類のカレー風味料理から2種類を選んで、ヴェトナムの米麺=フォーと一緒に食べて頂く炊き出しを2000食提供しました。初めての温かい食事です。
「福島民報」紙の記者以外、マスメディアは皆無です。公共放送のNHKは、南相馬駐在記者を逸早く「退去」させ、松本龍防災担当大臣が駆け足現地視察の19日も、何(いず)れのTV局・新聞社も同行しませんでした。
 迷走する政府に具体的提言を続けると共に、”平成の棄民”を支えるべく、今後も活動を続けます。
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