11/04/07 こだま問答を延々と繰り返す官房長官殿へ◆日刊ゲンダイ

4月1日から3日に掛けて、宮城県気仙沼市、南三陸町、福島県南相馬市へと赴きました。仙台市若林区、相馬市、南相馬市に出向いた3月19日から21日に続いて2回目です。
一旦緩急の際には国家主導で”兵站(へいたん)=ロジスティックス”を構築し、「成果民主主義」を実現すべき。が、この段に及んでも、「国民の生活が第一。」を掲げていた民主党主体の政権は、御題目としての”地域主権”を超えられず、「手続民主主義」の隘路(あいろ)に陥る悲劇が続いています。
1959年(昭和34年)の伊勢湾台風を契機に制定された災害対策基本法は、JH、JR貨物&旅客、日本郵政、電力、都市ガスの各社に加え、大手通信・輸送会社も首相が定める指定公共機関として明記しているのです。
被災地の自治体が自前で物資を調達し得る訳がありません。”国民の生命と財産を守る”べく、自衛隊や輸送会社の車両で”兵站”を確保・実施するのが政府の責務。その上で、地域の実情を把握する自治体が、きめ細かく一人ひとりの住民に提供する。それでこそ「成果民主主義」としての”地域主権”です。
更に、少人数の避難所や半壊家屋に留まる住民への支援は、地元自治体の人員のみでは到底不可能。であればこそ、被災地以外から国家&地方公務員を政府主導で駆り出し、阻害され勝ちな対象への”御用聞き”的対応を敢行すべき。今回、及ばずながら僕が行ったのも、こうした点と点を結ぶヴォランティア。
他方で、権限も責任も放棄・転嫁の”こだま”問答を日々、延々と繰り返す枝野幸男官房長官は4日夕刻、以下の驚愕会見を行います。
「建屋内に滞留している高濃度放射性物質を含有の汚染水の流出防止を優先」する為に、「(法定基準の100倍に留まる)低濃度放射性物質を含む汚染水の海洋への放出」を「安全確保の観点に立ち、了承する」との。
が、その僅か2時間前、各党・政府震災対策合同会議で全政党から、汚染水処理に関し質問が相次ぐも政府は何ら具体的方針を語りませんでした。国民に対する情報公開と説明責任を放棄した抜き打ち的実施です。
IAEA=国際原子力機関や関係国にも事前連絡を怠り、今や「手続民主主義」にも悖(もと)る行為に全世界が慨嘆しています。にも拘らず、認識も判断も迷走する最高執行責任者は、未だ執務室から退出しないのです。日出ずる国ニッポンの悲劇です。