11/12/15 ホワイト・エレファント=無用な長物◆日刊ゲンダイ

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20世紀は「科学を信じて・技術を疑わず」の無謬(むびゅう)性に立脚する物質主義でした。脱・物質主義の21世紀は可謬性の視点に立ち、「科学を用いて・技術を超える」時代で在るべきです。
奇(く)しくも日米開戦から70年目の12月8日、計10名で構成される事故調査委員会発足を受け、「東京電力福島原子力発電所事故に係る両議院の議院運営委員会の合同協議会」が開催。
「国民新党・新党日本」を代表して僕は、122年前に奈良県十津川村の大水害被災者が北海道の空知平野に新十津川町を築いた事例を挙げ、「原発から少なくとも30km圏内は『放射能に占領された領土』と冷徹に捉え、居住禁止区域に設定し、愛着を抱く郷里から離れる当該住民には国家が新たな住居と職業を提供すべき」と反復しました。
一定の場所、一定の時間、一定の社会グループに悲劇が留まる航空事故や列車事故とは異なるのが原発事故だからです。社会的にも地理的にも時間的にも、更に陸上・海上、地表・地中・水中を問わず、範囲・濃度・蓄積の何れも変幻自在な放射能の被害は連続・拡大する蓋然性が極めて高く、而(しか)も無色・透明・無臭で、人間が五官で察知し得ぬ厄介な存在です。
12月6日付「ザ・ニューヨーク・タイムズ」は、「フクシマ」の除染作業は日本最大最悪の「無用な長物=ホワイト・エレファント」的“有り難迷惑な公共事業”となりかねぬ、と長尺の記事を掲載し、「賠償金支払いを回避する為に、政府は除染に固執しているのだ」と多くの避難民は慨嘆している、と報じました。
遡(さかのぼ)って11月21日、共同通信は以下の“秀逸”なる記事を配信するも、掲載した新聞社は全国で僅(わず)か3社でした。
「福島県の佐藤雄平知事は21日、外務省が在京大使館関係者や各知事らを招いて都内で開いたレセプションで、東京電力福島第1原発事故を踏まえ『図らずも有名になった福島県知事の佐藤雄平でございます』と挨拶」。「『私は(福島原発から)60キロの所に8ヶ月居たんですよ。元気でしょ』とも述べた。10月31日には福島県庁でアジアの女性モデルの表敬を受けた際に『今、世界で最も有名な首長、私かもわかりません』と発言している」。
TPP交渉参加、消費税率引き上げを、「捨て石と為っても遣り遂げる」と大言壮語した宰相NÖDÁと同様、多くの真っ当な日本人との余りの心智(メンタリティ)の違いに、思わず言葉を失います。