10/09/02 負の選択としての過半数に過ぎない

党規約に基づく、任期満了に伴う民主党代表選挙なのです。有資格者の立候補を何人も妨げてはなりません。それは、民主主義の根幹に関わる話です。
にも拘(かかわ)らず先月来、9月30日に任期満了を迎える現在の代表の無投票再選こそ「国難」を乗り越える道、と他者の立候補を牽制する報道が溢れました。うーむ、これこそは、政権与党時代の自由民主党を”密室談合”だと批判してきた報道機関の、自らに唾(つば)するが如き自家撞着(どうちゃく)です。
その自覚無き面々は各媒体の電話調査で、首相が短期間で代わるのは如何か、と回答した者が過半数を占め、首相の続投支持も同じく過半数を超える、と高らかに報じました。が、それは”負の選択”としての過半数なのです。謂(い)わば「ロールシャッハ・テスト」の錯覚です。
「挙党一致の体制を組んで貰えないか」と述べた前首相に、「それでは、鳩山さん、小沢さんは(羽田孜氏と同じ)最高顧問でどうですか」と25日夕刻に官邸でゼロ回答ならぬ”レス・ザン・ゼロ”回答を行い、「(トロイカ体制とは)何かあったら相談するという意味だ」と議員会館の自室で31日午後、押っ取り刀で駆け付けた支持議員に菅直人首相は”絵解き”した、と首相補佐官は明言しています。
とするならば、その直後の出馬表明会見に於ける「(私は)出来るだけ融和を図ろうという姿勢で臨んできた」発言との”ロールシャッハ”判定は、如何なる具合になるのでしょうか?
とまれ、「日本の行政、政治の在り方を根本から変えていく事が私に課せられた使命」、「本当の改革に向けて政権を本格稼働させる」と憲政記念館に於いて宣言し、「消費税の在り方については、大いに議論していく」と政策の争点化を言明しました。
前週の拙稿でも言及した様に、「永田村の政局」よりも「日本丸の政策」を、と多くの国民は望んでいるのです。それも、即効性と持続性、更には伸張姓を併せ持った斬新で大胆な経済施策を。14日迄の代表選挙選で、小沢一郎、菅直人の何れの候補者が、その哲学と覚悟を国民に示し得るか、労使ベア交渉擬(もど)きの消費税率といった数値の多寡に留まらぬ、射程の長い洞察力に富んだ論争が望まれています。

2010/09/02