12/06/28 誰が造反で、誰がヘタレか◆日刊ゲンダイ

「僕は疑問を抱きます。如何(いか)なる根拠を以て一方に「造反」の烙印を押し得るのかと。受け取る側の心理で絵柄が、老婆にも少女にも見えてしまう”ロールシャッハ・テスト”と同じではないかと。
「何故、マニフェストで『やらない』と言った事を『やる』と言った方が正規軍となって、マニフェストを貫けと言った方が反乱軍となるのか。それを判った上で突っ込んだ野田首相の責任は重い」。昨日の衆議院本会議終了直後に発した小泉進次郞氏の看破は、真理を突いています。
誰が翼賛で、誰がヘタレか、明確になった昨日の本会議で僕は、8法案全てを「否」としました。「社会保障と税の一体改革」とは名ばかりな、「消費税率の単体改悪」だからです。
税金は、入口に当たる収入、出口に当たる支出、その何れかで徴収するしかないのです。消費税は後者。が、入口は一向に是正されていません。
株式会社の7割、連結決算を導入する超大企業の66%が、国税の法人税と地方税の法人事業税を1円も納付していない不条理を改善するには、利益に対する現行の課税から、事業規模や活動量を基準に課税する外形標準課税へと抜本的に刷新すべき。
それは、事業所の床面積や従業員数、資本金等及び付加価値等の外観から客観的に判断可能な基準を課税ベースとして税額を算定する方式です。
僅(わず)か3割の企業が加重な負担に喘いでいるのです。広く薄く、全ての企業に外形標準課税を導入したなら、現行の法人税率の3分の1課税となっても、お釣りが出ます。
が、こうした本質的な議論は行われず、弱者対策で食料品等に軽減税率を導入すべき、と目眩(めくら)まし言説が横行しています。それこそ、族議員や族団体の声の大きさで税率が左右される、消費者不在な裁量行政の温床。
弱小業界だった貝割れ大根がヒール役に仕立て上げられたO-157の記憶が甦ります。嗜好品のフォアグラ=ガチョウの肝臓は高税率だとして、では、摘出する前のガチョウで取引された場合は鶏やアヒル同様に家禽一般の税率を適用するのか、財務省に留まらず監督官庁の天下り肥大化を齎(もたら)す“フォアグラ”が複数税率なのです。
そもそも、日本が目指す“中負担・中福祉”のイギリスに於ける付加価値税17.5%は、仮に全ての品目に同一消費税率として換算すれば、9.8%に「過ぎない」のです。消費税率10%でも足りない、と妄言する御仁は、日本の行政システムの何処かに無駄が有る、という公理にこそ目覚めるべきです。