10/12/02 郵便局の棚ざらしは国民利益に反する

「改革法遅れ 経営弱体化の懸念」と見出しを冠して昨日(11月30日)付の紙面で「讀賣新聞」は、「郵政民営化法が存続している一方、既に昨年12月、郵政株式売却凍結法が成立している為、元の民営化路線には戻れず、新規業務も、株式の売却も全く進まない」日本郵政グループの現状を図表入りで報じました。
言わずもがなの復習をすれば、現行の5社体制を3社体制に再編し、郵便事業会社と郵便局会社を一体化する郵政改革法案は、「郵便不着について郵便局に問い合わせても、『郵便事業会社に聞いてほしい』といった対応になり、利用者は不便を強いられている」縦割り分社化の弊害を改善するのが第一義です。
郵政民営化法に基づいて小泉純一郎政権下で発足し、経済評論家の田中直毅氏が今でも委員長を務める「郵政民営化委員会」が、新規事業への進出に反対し、「ゆうちょ銀行は住宅ローン取扱や貸付業務、かんぽ生命はガン保険や医療保険等、第3分野のサービスが提供出来ない」状況を打開するのも目的です。
性懲りもなく肥大化を画策かよ、と早とちりする向きも居られましょう。いいえ、違います。
既に11月8日付の「神戸新聞」も社説で看破しています。「郵便事業に限られていた全国一律サービスを、郵貯や簡保にも広げる」のが今回の見直し法案だ、と。
120市町村が存在した山国で知事を務めていた往時、県指定金融機関を地元地銀から郵便局へ変更出来ないだろうか、と考えました。地銀協=全国地方銀行協会加盟の第一地銀は、半数以上の自治体に支店を設けていなかったのです。
更に人口2千人規模の町村で営業するJAバンクも今や、現金自動預け払い機=ATMを設置するのみです。小規模基礎自治体に暮らす国民にとっての「有人窓口」は、哀しい哉、郵便局のみなのです。
故に「公共性を守りつつ、非効率な官業体質は刷新する。収益性を高められる部分は大胆に高める。採算を度外視してでも守るべきサービスは、きちんと守る」と主張した「神戸新聞」に続いて、「讀賣新聞」も本日(12月1日)付の社説で、「棚ざらしは国民利益に反する」と論陣を張り始めました。
う~む、民主党を除く全与野党が会期延長を求める中、逃げ切り・問題先送りの一心で3日で閉会を広言する仙菅ヤマト内閣の「決断」が迫られているのです。

★この原稿は12月1日朝に「日刊ゲンダイ」に寄稿したものです。3日の閉会が決定した事を受けての見解は、田中チャンネルを御覧下さい。
【田中チャンネル】
逃げるが勝ち、かな国会閉会Part1>>>
逃げるが勝ち、かな国会閉会Part2>>>
1日午後の亀井静香・国民新党代表との合同会見の映像も、こちらで御覧頂けます
「国民新党・新党日本」両院議員総会>>>

2010/12/02