11/04/28 増税で景気浮上した国家はない◆日刊ゲンダイ

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何の権限も付与されていない五百籏頭真「復興構想会議」議長も、官邸で孤立無援な仙谷由人官房副長官も、「復興増税」なる愚論を”広言”しています。日出ずる国が開闢(かいびゃく)以来の事態を迎えても猶(なお)、従来の方程式で演算する輩だからです。
厚生「族議員」として知られる仙谷氏は先週末、旧知の医師が市長を務め、”安全地帯”の「30km圏外だから物流も金融も元通りになって復興に向かっている」相馬市へは視察に訪れても、南相馬市へは足を踏み入れませんでした。東電関連の「原発交付金」を過去1円も受け取っていない南相馬市民の”棄民”状態を、世界で最も影響力を持つ100人に「タイム」誌が選んだ桜井勝延市長に語られると、ばつが悪いかったのでしょう。
その程度の哲学と覚悟の持ち主だから、段ボールで仕切られた避難所を宮城県で視察した直後に平然と、「所得増税は不可避」と言明する始末。為政者に最も必要とされる、人の心の襞(ひだ)を汲み取る智性も勘性も温性も欠落しているのです。
増税で景気浮揚した国家は、古今東西、何処にも存在せず、と代表質問や予算委員会で申し上げてきました。況(いわ)んや、地震と津波で家族も住居も職場も失い、終わりなき放射能汚染との見えざる苦闘を強いられる今回に於いてをや。
全国銀行協会の「内規」を根拠に、最終取引日から10年経過の預貯金が金融機関の”不労所得”と化す金額は毎年、1000億円に上っています。イギリスに倣(なら)って、「休眠口座」の国庫納付を僕が提言している理由です。
加えて、保険・年金準備金を除く2009年度の家計の金融資産(純額)は696兆円。総務省の「家計調査」に拠れば、70歳以上の保有割合は53%。369兆円に達します。
半分の184兆円が「復興無利子国債」に回ったなら、政府支出増加に伴う増収分は10年間で16.5兆円。残り半分の「贈与財産」を見做し、30~40歳代への贈与を非課税としたなら、同年代の消費性向は70%ですから、消費へ回るのは同じく10年間で129兆円。それに伴う税収増加分累積は11.6兆円。併せて28.1兆円の増収。現行の相続税収は、金融資産対応部分で10年間に4.5兆円に過ぎません。
「財源」なる行政用語を記者クラブが安易に垂れ流し、増税やむなしの集団催眠術に国民が掛かっているのです。新しい方程式を編み出してこそ、信じられる日本。明後日29日の祭日に開催される予算委員会で10時から、質疑に立ちます。