11/05/19 日出ずる国の宰相はサミットでも五里霧中◆日刊ゲンダイ

「今後も他国が原子力に拘(こだわ)るなら、寧(むし)ろドイツが新しい代替エネルギー市場で支配権を確立するチャンスだ」。
アンゲラ・メルケル首相が設置の原子力政策再検討諮問委員会に加わった社会学者ウルリッヒ・ベック氏の発言です。「脱原発」への再転換を表明したドイツは、2050年迄に電力の80%を再生可能エネルギーとする方針を打ち出しました。
総事業費13兆円でイギリスも2020年迄に7000基もの洋上風力タービンを設置し、国内全消費電力の3分の1を賄う計画を発表。原子力大国のフランスも1兆円以上を投じ、大西洋岸で洋上風力発電に着手。2020年には全エネルギーの23%を再生可能エネルギーに転換します。
他方、稼働停止は2年限定の浜岡原発のみ、とガス抜き”延命”を図った日出ずる国の宰相は、そのノルマンディーのドーヴィルで開催されるサミットで、如何(いか)なるエネルギー政策を開陳するのか五里霧中です。
1970年代の日本は、太陽電池=太陽光発電の技術開発力も市場占有率も、世界一でした。が、何故か「国策」とならず、今や中国やドイツの後塵を拝する状態。
ならば、汚名挽回、福島、宮城、岩手の各県に2ヶ所ずつ、太陽光発電パネルの製造事業所を新設し、全国の新築・既存の建造物にソーラーパネル設置を義務付け、被災者の雇用創出と産業の構造転換を行うべき。今後3年以内に事業用・家庭用の電球を全てLED化する法改正も省エネと景気浮揚の一石二鳥。
無体な話に非ず。白物家電メーカーに福音を与える一方、国民負担を強いた地上デジタル放送は、「国策」で強行突破したではありませんか。
4月29日、5月16日の予算委員会で、日本を産油国へと大転換する画期的な藻・オーランチオキトリウムに触れました。
筑波大学の渡邉信教授が昨年発見したオーランチオキトリウムは1ha当たり年間1万トンの炭化水素を生成します。光合成に頼らず、有機排水をエサとしてオイルを生み出す画期的なエネルギーシフト。奇しくも今回、津波で塩田化した農地2万haの面積で、日本の年間石油消費量を賄える計算。現在の石油価格と十分に張り合えるコストで生産可能です。
今週末21日22時~のBS11「田中康夫のにっぽんサイコー!」では渡邉氏を迎え、その夢の実体を語り尽くして頂きます。乞う御期待。