11/06/30 今こそ「首相機関説」を◆日刊ゲンダイ

「天皇は国家人民の為に統治するのであって、天皇自身の為にするのではない」。「天皇機関説」を説いたのは美濃部達吉氏です。「天皇主権説」からのコペルニクス的転換でした。
星霜(せいそう)を経て、今こそ「首相機関説」を共通認識とすべきです。首相は首相自身の為に統治するのではないのですから。
実は今までも、「首相機関説」「大臣機関説」は共に機能していました。が、それは国家国民の希望の為ではなく、役所役人の都合の為だったのです。霞ヶ関が作成した予算・法案を国会に提出する為の機関、それが首相や大臣だったのです。自分の選挙区にダム建設を誘致、ライバルの選挙区で特養設置を排除。日本の「政治主導」は精々が、このレヴェルだったのです。大本の部分は官僚が遠隔操縦する「首相機関説」でした。
忖度(そんたく)するに畏兄・亀井静香氏が昨秋から提唱の「救国内閣」、発生直後の3月13日に進言した「震災復興実施本部」の深意は、「首相機関説」の真っ当なる機能です。
辞任する心算が更々無い人物に鈴を付けねば、と未だ民主党の面々は画策しています。
が、役職辞任も辞さず、と我ら“口先番長”が6者密談を開けば、マスメディアが“針小棒大”に報じ、本人も震え上がるに違いない、なあんて“他力本願”な、凡(およ)そ差し違える覚悟も無き“胎動”など、一匹狼から頂上に駆け上った彼にとっては屁でもないでしょう。真っ当に働き暮らす国民にとって、こんな悲喜劇ならぬ「喜悲劇」は有りません。
ならば、“セカンドベスト”を選択すべきです。国家国民の為の「首相機関説」です。震災以降の無為無策な100日を些かでも挽回すべく。
「男の美学」で副総理就任を固辞した畏兄・亀ちゃんは、「これからも全力を挙げて、総理特別補佐官として菅政権を徹底的に支えていきたい」と申し出ました。
内閣総理大臣補佐官は総勢5名。他の4名は、国会対策、災害ボランティア、省庁間調整、食品安全と所掌分野は限定的。唯一、亀ちゃんだけは「内閣の重要政策全般担当」と官報掲載されています。謂(い)わば首相特別補佐官改め首相特別指揮官、と僕は捉えています。
とまれ、「大統領は自分と妻の為に統治する」「ルーマニア国家国民を救うのは我ら2人」と最期の瞬間まで信じて疑わなかったニコラエ&エレナ・チャウシェスク夫妻の再来を防ぐべく、真っ当な「首相機関説」で日本再興を願うや切です。