12/05/17 あえて「日本国憲法改正原案」◆日刊ゲンダイ

別けても「3・11」以降、“的確な認識・迅速な決断・明確な責任”の何(いず)れも持ち合わせぬ政権下で、“会議は踊る”ばかりな「捻れ」二院制民主主義の混迷に、誰もが辟易(へきえき)しています。
「自民党にはうんざり・民主党にはがっかり・然(さ)りとて他党にも・・・」のウルトラ無党派層は、家族を抱え・ローンを抱え、今や泥船状態の“日本丸”から下船する訳にもいかず、当て処(ど)なき漂流を続けているのです。
「0増5減」に象徴される小手先の議員定数削減議論も、「政治改革」の名が廃る御為倒(おためごか)しに過ぎません。それすら党利党略の百家争鳴で、実現の目処すら立たぬのです。
憲法第四十二条で規定された衆参両院を廃止し、定数500名以下の一院制国会を創設すべく、提出者10名、賛成者120名で「日本国憲法改正原案」を4月27日、横路孝弘衆議院議長に提出しました。これぞ実体を伴った目に見える変化を齎(もたら)す、と提出者の1人として思います。
3年前の5月18日に公布された憲法改正手続き法は、今週金曜日の5月18日に施行されます。
情緒的で短絡的な「憲法改正=第九条の是非」なる神学論争が未だに横行しています。が、憲法と実態の乖離は、仏教・神道・キリスト教等の宗教法人を母体に設立の学校法人に助成する根拠法の私学学校振興助成法と第八十九条との関係を例に挙げるまでもなく、数限りないのです。
而して、憲法改正は1箇条毎に採決する規定です。その“間怠っこさ”故に、第九十六条の「3分の2条項」を過半数へと引き下げる憲法改正を先ずは、と声高に語る向きも居ます。が、それは正々堂々とは些(いささ)か異なる安直な発想です。
今回の提出は、衆議院副議長の衛藤征士郎氏を会長とする「超党派 衆参対等統合一院制国会実現議員連盟」が9年前から温めてきた政治改革。衆議院480名、参議院242名の国会議員を500名以下に一挙削減し、2017年1月1日に新国会を創設する憲法改正です。
天変地異が選挙期間中に勃発した場合の国政の停滞を防ぐべく、国会の解散後も総選挙で新議員が選出されるまで、任期とする点も画期的。提出者は共産、社民以外の全ての党派。実は小平忠正衆議院議院運営委員長も民主、自民両党の議運筆頭理事も賛成者です。
衆議院議長室で議長が事務総長に命じ、受け取った今回の憲法改正原案、儀典=プロトコール上も正式受理は明々白々。言ってた事を行わず・言ってなかった事を行おうとして、少なからぬ国民が悲憤慷慨(こうがい)する民主党政権も、可及的速やかなる審議入りを決断したなら、言ってなかった事とて国民から唯一の例外として賛同を得るでしょう。
★衛藤征士郎衆議院副議長が出演の5月13日放送「田中康夫のにっぽんサイコー!」はこちら>>>