12/06/21 お前、「国民の生活は最後。」かよ◆日刊ゲンダイ

「劣化」しているのは、松下政経塾出身の「口先番長」一派だけではありません。民主党最高顧問の藤井裕久氏は一昨日、「消費税が如何に日本の社会保障にとって大事か。それで『お前は怪(け)しからん』となったら、選挙に負ければいいだけの話」とシンポジウムで大言壮語しました。
財務省の資料に拠(よ)れば、日本のGDPに占める法人関係税収の比率は昨年、1.9%に留まります。韓国は3.9%、イギリスは3.6%、フランスは2.9%。驚く勿(なか)れ、中国の2.1%よりも低いのです。
日本では、株式会社の7割が国税の法人税、地方税の法人事業税を1円も負担していません。日本経団連に加盟する連結納税導入の超大企業も66%が同様です。利益に課税する法人税の仕組から、全ての法人の支出に対し広く薄く掛ける外形標準課税の全面導入こそ、公正=フェアな税制改革の第一歩。本会議の代表質問で繰り返し主張してきました。
旧大蔵省主計局主計官から政界に転じた彼が、その現実を知らない筈もありません。が、今や、強きを助け・弱きを挫く政党へと宗旨替えし、「国民の生活は最後。」の新たな御旗を掲げる民主党の主流派改め「守旧派」は、「社会保障と税の一体改革」ならぬ「消費税率の単体改悪」に血道を上げるのです。
護送船団記者クラブに巣くう論説委員や解説委員も、新聞の社説やTVの番組で連日連夜、IMF=国際通貨基金が求める消費税率15%へと一歩を踏み出さねば、国債の格付けは急落し、日本の信用は失墜する、と“狼少年”な妄言を展開。
呵々。それこそは、今回の消費増税が国際金融業界向けの取り繕い=ポーズに過ぎず、橋本龍太郎内閣の増税時と同じく、税収増効果は乏しいどころか逆に税収減に陥る、と“告解”する笑止千万な言説です。
不吉な雰囲気を意味するムーディーズだの、貧富の格差を隠喩するスタンダード&プアーズだの、一民間企業に過ぎぬ「格付け機関」の御託宣を金科玉条の如くに振り翳す亡国の彼らは、日本国籍を返上し、租税回避地=タックスヘイブンのカリブ海で“不名誉白人”な余生を送る方が、未だしも日本の為です。
古今東西、増税で景気浮揚した国家は何処にも存在しません。エコノミストの斎藤満氏も看破する、特別減税廃止、消費税率引き上げ、税控除や所得控除の圧縮で過去20年間、実質増税となるも実際の税収は20年前の約60兆円から40兆円弱の現在へ激減した歴史の教訓に学ぶべきです。
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