なんだか変だぞ、いまの改革。
 
 
 【 外交迷走

 天然資源に恵まれなかった日本は、勤勉な国民性の下にモノ作り産業を基軸として、世界貢献してきました。今や、アニメも立派な輸出産業です。
 その意味では、災害救助支援こそは、国境を越えて日本が積極的に貢献すべき、被爆国としての目に見える活動です。
 著名な政治学者ジョセフ・ナイも、軍事力や埋蔵資源といった旧来型のハード・パワーではなく、優れた文化と魅力的な政治的価値観や外交政策こそが、他国民から信頼と期待を寄せられる新しいソフト・パワーとして、21世紀の社会では重要性を増していくと述べています。
 真の危機管理もまた、戦争やテロが起きてからの話ではなく、それらの事態を未然に防ぐための冷静で的確で入念な外交交渉の積み重ねこそ、肝要なのです。
 ところが現在の日本政府は自ら挑発を仕掛け、それに対する隣国の言動に、こちらから過剰反応しているように思えます。“心の問題”だと虚勢を張り続ける宰相・小泉純一郎の対中・対韓強硬路線に対し、東南アジア諸国だけでなく最近ではホワイトハウスの中枢からも懸念する声が発せられている現実をこそ、真剣に受け止めるべきです。
 平和こそ、次世代への最大の贈り物です。
 過去の歴史を見つめ直し、認めるべきは認め、その上で、主張するべきは敢然と主張する“大人の外交”を、日本は取り戻すべきです。世界の一員であると同時にアジアの一員である自覚と覚悟の上に立って。

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 【 財政破綻

 財政赤字の解消を掲げた小泉純一郎内閣は逆に、この5年間で250兆円も借金を増加させました。現在も1時間に66億円と猛烈な勢いで、天文学的数字が刻まれ続けているのです。
 のみならず、改革の旗印として就任当初に掲げた道路公団民営化すら、絵に描いた餅と化しています。採算の見込めない新規路線を、更に2000キロも建設するのです。しかも、民営化後も世界一高い高速料金は値下げされていません。
 一足先に民営化されたイタリアと比較したなら、一目瞭然です。日本もイタリアも、用地買収を含めた1km辺りの建設費用は45億円前後。けれども、ローマ−ミラノの通行料金は3千円。ほぼ同距離の東京−神戸の4分の1の金額なのです。だから、アウトストラーダと呼ばれる高速道路を、長距離トラックも家族旅行のマイカーも、気軽に利用可能なのです。
 国土交通省や農林水産省の巨額な公共事業も、その9割以上は不透明な指名競争入札や特命随意契約で実施され、コストダウンが図られていません。国家財政の破綻で国民生活が混乱するのを食い止めるには、構造的な無駄遣いを改めるべく、公共事業の透明化を図るしかないのです。現に信州・長野県では、その9割以上に開かれた一般競争入札を導入し、落札率は飛躍的に改善されています。
 全国47都道府県で唯一、借金を5年間連続で減少させ、同様にプライマリーバランス(基礎的財政収支)も全国で唯一、黒字化を6年度連続で達成した信州・長野県は、人が人のお世話をする中で初めて成り立つ新しい労働集約的分野の福祉・医療、教育、環境へと事業予算を傾注投資し、それらの成果は、全国上位に位置する有効求人倍率の高さと完全失業率の低さでも証明されています。地域での変革を全国での展開へと、推し進めるべきなのです。

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 【 教育混迷

 お天道様の下では悪いことをしちゃいけないよ。
おじいちゃん、おばあちゃんが私たちに教えてくれた日本の美徳は失われ、優勝劣敗な強者の論理が一人歩きしています。他者への思いやり、地域社会で助け合う気持も、急速に薄らいでいます。
 のみならず、この20年間の教育「改革」が日本社会に及ぼしたのは、目も当てられぬほどの学力低下と教育現場の荒廃でした。
 「自ら学び、自ら考える力を育てる」教育を目指して導入されたはずの総合的学習も逆に、Why(なぜ)やHow(どうして)の素朴な疑問を抱いて真理を探究する学習に喜びを見出さぬ子どもを生み出しています。世界一と評された算数や数学の学力ですら、今やアメリカよりも劣ってしまった嘆かわしき日本の現状を、私たちは見過ごすわけにはいきません。
 収入的に恵まれた一部の家庭の子どもだけが特別扱いされる、教育の格差が拡大する傾向も深刻です。今こそ、税金で運営される公教育のあり方を、抜本的に見直すべきです。
 社会人としての経験が豊富な人財を積極的に中途採用し、教員の資質を高めると共に、権利意識ばかり一人前の教員が牛耳る、閉鎖的な教育の世界を一変させねばなりません。
 自分の考えを自分の言葉で述べることが出来る子どもの育成こそは、国家百年の計として急務なのです。

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 【 格差拡大

 非正社員の比率が、今や全産業の35%を占めています。正規の従業員として働く人は300万人減少し、他方、パートや派遣などの待遇で働く人が200万人以上増え、貯蓄のない世帯は過去最大、生活保護も100万世帯を超えました。地域の格差も広がっています。
「格差」が拡大し、「不安」が急増しているのです。地域間でも、個人間でも、この5年間で取り分け。すべては、弱肉強食なアメリカ流の市場原理主義を、そのまま日本に持ち込んだ小泉・竹中構造改革路線の「成果」なのです。
 郵政3事業を民営化すれば外交も福祉も治安も解決する。手品じゃあるまいし、そんなはずもないのに、昨夏の総選挙で一国の首相は叫び続けました。が、以前から郵政公社の職員給与は、独立採算の中で支払われています。税金は一銭も投入されていないのです。民営化後も、公務員が減るわけでも、税金が安くなるわけでもないのです。
 口先だけの「構造改革」は、少子・高齢社会に備えるとの掛け声の下に、保健・医療制度の改悪にも及ぼうとしています。行き着く先は、世界に冠たる日本の「国民皆保険」体制の崩壊と、外資系の保険会社や製薬会社が 我が世の春を謳歌する格差社会です。
 実際に民間保険会社が牛耳るアメリカでは、人口の15%もの4000万人以上が医療健康保険に加入出来ずにいるのです。のみならず、掛け金の高さが原因で、年金生活者の3分の1は、処方箋に基づく薬代すら適用外の契約状況です。
 年齢や性別、経歴や肩書、国籍や障害の有無を問わず、生きる意欲を有する人々に開かれた挑戦の機会を与え、未来に対して勇気と希望を抱ける「安全・安心・安定」の日本社会を実現せねばなりません。

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 【 不安急増

 耐震偽装、偽計取引、談合疑惑、BSE疑義。真っ当な社会、真っ当な政治とは程遠い「偽り」や「疑い」が噴出しています。治安への不安も同様です。
 役人の既得権益を守るための「大きな政府」は、もちろん改めねばなりません。けれども、国民の生活基盤すら壊すような「小さな政府」は、本末転倒です。国民に幸福を届ける「効率的な政府」こそが求められているのです。
「官」の役割放棄の一つが、建築確認の“民間委託”でした。その結果が、耐震強度偽装事件を生んだのです。誰も最終的な責任を負わない無責任体制の横行です。安全に対する不安が急増するだけでなく、万が一の事故が発生すれば、損害や犠牲を被るのは国民なのです。
 規制緩和すべき部分と、規制強化すべき部分を、冷静に的確に見極めることこそ、政治の責務です。思い起こせば、原子力発電所での事故も、腐食しない金属のチタンを管に用いるよう義務付けていれば、その発生を防げたのですから。
「官から民へ」のスローガンを今一度、点検し直す必要があるのだと思います。「民」が「私=ミーイズム」として傍若無人に暴走する事態を防ぐためにも。
 一例を挙げれば、「民」となった途端に道路公団は、情報公開請求の対象から外れました。通行料金の値下げも行わぬ独占企業体の役員報酬は、「官」の時分と違って、非公開が許されているのです。
「公」(おおやけ)とは、人々が暮らしている社会全体を意味します。「官」も「民」も、実は「公」を構成する一員なのです。とするならば、「官から公へ」、「民から公へ」と社会の意識を改めるべきなのでしょう。

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 【 増税2兆円

 この春から、所得税と住民税の定率減税が廃止されます。国民全体の増税は06年に2兆円、07年には4兆円に拡大し、一世帯当たり最高29万円もの増税社会が到来するのです。
 これだけに留まりません。小泉内閣発足以来の日本は、アメリカを追い掛けて、金持ち優遇税制へと大きく舵を切っているのです。
 それが証拠に、80年代には70%だった所得税の最高税率は現在、37%と半減しています。貧富の格差が激しいアメリカの35%と変わらないのです。
 株式の売却益への課税を一律10%とする株式投資減税の導入も、大きな問題です。自社株売却で140億円もの浮利を得た堀江貴文容疑者への課税額は14億円に留まり、残りの126億円は彼の実質収入となったのですから。
 先進国の中で最も低所得な人々に冷たいのが、日本の課税最低限度額です。
 課税最低限とは、一定の収入以下の世帯には課税しない限度額を示します。夫婦に子ども2人の家庭の場合、日本は325万円。他方、ドイツは500万円、フランス403万円、アメリカ358万円、イギリス359万円。いやはや、一目瞭然。物価が最も高い日本が、最も低所得者層に国税ならぬ酷税を強いる国家なのです。
 のみならず、消費税率の引き上げも既定路線として語られています。これらはすべて、アメリカ型の格差社会を目指す官邸の「経済財政諮問会議」が主導しています。その議長は、首相なのです。真っ当に働き・学び・暮らす人々から勇気も希望も奪い去ろうとする税制を改善せねば、この国に未来はありません。

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